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最高裁判所第二小法廷 昭和24年(れ)2330号 判決

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人今西貞夫の上告趣意第一点について。

原判決が、本件畳表について、特上、並の等級を明示していないことは、所論のとおりであるが、本件は、統制額を超過して販売する目的を以て畳表を所持したという罪であって、原判決は被告人が販売せんとした価格は一枚三六〇円乃至四〇〇円であったことを判示しているのであって、かりに右畳表の等級がいずれであったにしても、右価格は法定の統制額を超過するものであることは関係法規に照し明らかであるから、本件において更に右畳表の等級を特定して判決する必要はないものというべきである。けだし、右はいずれにしても、本件犯罪の成否にも、犯情にも影響を及ぼすべき事項と解せられないからである。論旨は理由がない。

同第二点及び弁護人岡部庄次の上告趣意第一点について。

原判決挙示の証拠によれば、判示のごとく、被告人が統制額を超過して販売する目的を以て、本件畳表を、福山駅において、所持していた事実を認めることができる。所論は、原審の証拠の判断、事実の認定を争うもので上告の適法な理由とならない。

岡部弁護人の上告趣意第二点について。

被告人が、原判示のごとく、大正一〇年一二月二九日生であることは、一件記録に徴し認めることができる。論旨は理由がない。

よって、刑訴施行法二条、旧刑訴四四六条に従い主文のとおり判決する。

右は全裁判官一致の意見である。

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎)

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